jsPsych の応用的な機能を確認
timeline_variables
前回のページで作成した実験は以下が問題でした。特に1つ目の問題は致命的です。
// FIXME: 以下が改善点になる。
// timelineを使っていないのでtrial_a みたいなのをたくさん書かないといけない。
// onfinish がないから feedback ができない。
// randomize もされていない。
なぜなら、AXBやAX課題が一つのトライアルで終わることはなく、以下を作成してtimelineにたくさんコピペしなければならないからです。
var trial_a = {
type: 'audio-keyboard-response',
stimulus: "espo-1.wav",
choices: jsPsych.NO_KEYS,
trial_ends_after_audio: true,
post_trial_gap: 200,
};
var trial_x = {
type: 'audio-keyboard-response',
stimulus: "esupo-2.wav",
choices: jsPsych.NO_KEYS,
trial_ends_after_audio: true,
post_trial_gap: 200,
};
var trial_b = {
type: 'audio-keyboard-response',
stimulus: "esupo-3.wav",
choices: jsPsych.NO_KEYS,
trial_ends_after_audio: true,
};
// trial 1
timeline.push(fixation); // 'html-keyboard-response'
timeline.push(trial_a); // 'audio-keyboard-response'
timeline.push(trial_x); // 'audio-keyboard-response'
timeline.push(trial_b); // 'audio-keyboard-response'
timeline.push(axb_question); // 'html-keyboard-response'
// これだとtrial 2以降もコピペが必要...
そうではなく、以下のようなテーブルがあると想定して、各トライアルは行方向に(つまり下に)進み、trial_aやtrial_bなどのstimulusキーの値をテーブル内のaやxの値で置き換えられたらどうでしょうか。その場合、コピペは不要になります。また、そのときに item_id や type の情報などの「分析時に必要な情報」も持たせられれば後でデータのマージが不要になります。
| a | x | b | type | item_id | correct |
|---|---|---|---|---|---|
| espo-1.wav | esupo-2.wav | esupo-3.wav | target | 1 | b |
| esupo-3.wav | esupo-2.wav | espo-1.wav | filler | 2 | a |
これを可能にしてくれるのがtimelineとtimeline_variablesを持ったオブジェクトです。前回は timeline という変数を作り、そこにpushしていました。そうではなく、上のテーブルを行方向に回す前提で列名をjsPsych.timelineVariable('a') のように参照して trial_a などを作ってしまい、
var trial_a = {
type: 'audio-keyboard-response',
stimulus: jsPsych.timelineVariable('a'), // ここで参照
choices: jsPsych.NO_KEYS,
trial_ends_after_audio: true,
post_trial_gap: 200,
};
// trial_x と trial_b も同様
さらに上で jsPsych.timelineVariable('a')などで参照したキー(ここでは'a')を持つ辞書を、下のようにトライアル分だけ持つリストを作成します。ここではトライアル2つ分だけであり、その結果が以下です。
var timeline_variables = [
{
"a": "espo-1.wav",
"x": "esupo-2.wav",
"b": "esupo-3.wav",
"type": "target",
"item_id": 1,
"correct": "b"
},
{
"a": "esupo-3.wav",
"x": "esupo-2.wav",
"b": "espo-1.wav",
"type": "filler",
"item_id": 2,
"correct": "a"
}
]
これはいわゆるJSONと呼ばれる形式で、先程のテーブルを変換して得られます。例として、Convert CSV to JSON のような変換ツールを使ってみましょう。サンプルファイル をダウンロードし、上記サイトにアップロードして CSV To JSON を押します。その内容を上のサンプルスクリプトのようにコピーして貼り付ければ完了です[1]。
そして最後に、冒頭で述べたようにtimelineとtimeline_variablesを持ったオブジェクトを作成します。これをtimelineにプッシュすると、先程のCSVを行方向に進めることができます。2件程度ではありがたみが薄いかもしれませんが、72トライアルくらいあると「なるほど、これは便利だ」となるはずです。
var axb_trial = {
timeline: [fixation, trial_a, trial_x, trial_b, axb_question, feedback],
timeline_variables: timeline_variables
};
// TIMELINE
var timeline = [];
timeline.push(preload);
timeline.push(axb_instructions_practice);
timeline.push(axb_trial);
feedback
実際のトライアルに(特に練習のセッションでは)反応の正誤判定をはさみたい場合があります。その場合は、2つのステップで実現できます。まず正誤判定をするタイミングと正誤判定を表示するタイミングがあることを確認しましょう。前者は課題そのもので、その時点で正しいか否かを記録してあげます。これは以下のように on_finish というキーに関数を与えて上げれば良いです。この関数はdata.is_correctに対し、data.responseとdata.correctが同じかを格納します。
var axb_question = {
type: 'html-keyboard-response',
stimulus: '音声呈示は a -> x -> b の順でした。',
choices: ['a', 'b'],
prompt: "<p> 2つ目の音(x)は1つ目の音(a)と3つ目の音(b)のどちらに似ていますか。</p>",
data: {
task: 'axb', // production--perception-categorization
type: jsPsych.timelineVariable('type'), // filler--target
item_id: jsPsych.timelineVariable('item_id'),
correct: jsPsych.timelineVariable('correct'),
},
on_finish: function (data) {
data.is_correct = jsPsych.pluginAPI.compareKeys(data.response, data.correct);
},
};
次のステップは、この格納したdata.is_correctを参照して表示させるだけです。前のステップである axb_question は axb_trial において feedback の前に位置しています。このとき、feedbackからみたaxb_trialの値is_correctは jsPsych.data.get().last(1).values()[0].is_correct; で参照できます。
var feedback = {
type: 'html-keyboard-response',
stimulus: function () {
let last_trial_correct = jsPsych.data.get().last(1).values()[0].is_correct;
if (last_trial_correct) { return "<p>正解です。</p>"; }
else { return "<p>不正解です。</p>"; }
},
choices: [' '],
prompt: "次の問題に進む場合はスペースキーを押してください。",
};
var axb_trial = {
timeline: [fixation, trial_a, trial_x, trial_b, axb_question, feedback],
timeline_variables: timeline_variables
};
これでfeedbackを作成できました。
ランダム化
これは簡単で、以下のようにするだけです。動作確認中はオフにすることをおすすめします。
// Shuffle an array, no repeats
var timeline_variables = jsPsych.randomization.repeat(timeline_variables, 1);
さて、これで実用に足りる実験が作れるようになりました。ソースコードはこちらになります。
あとはリストを作成して、すべての音声をpreloadに加えて[2]、パイロット実験をして、仮分析をして、本実験をして、結果を分析して、ゼミで発表して、修正して、学会で発表して、論文にまとめて、投稿するだけです!
次は産出実験の作り方を見ていきましょう(作成中)。